埼玉県深谷市成塚地内、県道356号沿いにある古い道標・・
以前からあることには気づいていたが、よくよく見たことがなかったので、改めて確認と記録。
ちなみに、隣にある大きい石碑は、南無阿弥陀仏と彫られてるが、講中とあるから墓石ではない。
正面には、
「安永十辛丑三月吉日
南□かやく□□や道
武州成塚村」
と彫られる。
安永十年・辛丑は1781年、4月に改元されるが、この3月はまだ安永で合っている。
建立年が明確な道標だ。250年近い古いものだった。
武州(州が略字となっている)成塚村、まさにこの場所
右面には「右たかしま道」
現在も大字名として、ある高島のこと
「左なかせ(中瀬)□
施主 栗原氏」
建立した人物は栗原さんということもわかる。
あらためて、正面の文字であるけれども、江戸時代のくずし字かつ音の当て字(?)で、オレには読めないのだけれど、方角からして、南は「深谷」に違いない。
「南 婦かや(ふかや)く満かや(くまがや)道」
と彫られているのではないかと推測。
くずし字が読める方にはたぶん容易いことであろうから、ご教示をいただきたいとお願いする。
この道標の立つ県道356号は、古くは「中瀬道」と呼ばれる、中山道と中瀬河岸(当時、川運で発展していたという)とをつなぐ重要路だった。
また、「明治国道」においては、この道が「國道十二号」として群馬・前橋まで接続するルートに選ばれたのだ。が、そのことはまた別で書きたい。
今や中瀬には往時をしのばせるものはほとんどないが、この道標はその痕跡として貴重なものであろう。
■取材日・情報現在:2018/09/01